概要
ガザ北部で唯一稼働していた医療施設カマル・アドワン病院に対し、12月27日にイスラエル軍が80日以上の包囲と空爆、民間人殺害の末突入、院長のフサム・アブー・サフィヤ医師を含む医療関係者、患者、患者の付き添い人、ジャーナリストを拉致しました。
- 私はフサム・アブー・サフィヤ医師を含む拉致された人々の解放を求めます。皆様にも外務省や地元議員を通じてイスラエル軍の虐殺を抗議してほしいです。イスラエル軍は医師、コメディカル、ジャーナリスト、詩人を含む社会に貢献する人々を標的としています。止めるための声を上げてください。
- イスラエル軍がカマル・アドワン病院で行った戦争犯罪の一部として、Euro-Med Human Write Monitorが12/28に公開した証言を翻訳しています。ぜひ読んでいただきたいです
- イスラエル軍の発表を復唱しカマル・アドワン病院でイスラエル軍が捕らえたひとびとを「テロリスト」ととれるような報道をした報道機関に抗議します。イスラエルの戦争犯罪についても訳しました。報道機関が培ったこれまで調査技術を十全に活用し、一般市民への戦争犯罪についてを先にとりあげてください。
報道機関による報道例
医療スタッフをテロリストとして報じた例:「240人以上の「テロリスト」(12/29共同通信)」
「病院周辺をイスラム主義組織ハマスの拠点と断定し、軍事作戦を実施している(12/28 読売新聞)」
「イスラエル軍 パレスチナのガザ北部で集中攻撃継続、4人死亡 病院で「ハマス百人拘束」(12/28 産経新聞見出し)」
Euro-Med Human Rights Monitorによる報告:2024年12月27日のカマル・アドワン病院へのイスラエル軍の攻撃:イスラエル軍がガザ地区北部で行った屋外処刑と性的ハラスメントについての悲惨な証言
ヨーロッパ、中東地域での人権問題を調査する非営利団体、Euro -Med Human Rights Monitor (以下、Euro-Med Monitor)が12/28に発表した、カマル・アドワン病院への攻撃の証言を掲載します。Euro-Med Monitorは2011年に設立され、スイス・ジュネーブに拠点をおいています。日本政府が「パレスチナ自治区」と呼んでいるイスラエルに占領されているパレスチナ地域に対しても2023年10月以前から人権問題を調査しています
- 原文
https://euromedmonitor.org/en/article/6581
パレスチナ地域
Euro-Med Human Rights Monitorはガザ地区北部のカマル・アドワン病院および一帯の地域でイスラエル陸軍が一般市民に対して行った深刻な犯罪を記録する悲惨な証言を収集した。
イスラエル陸軍によるこれらの犯罪には意図的な殺人、屋外での処刑、医療チームと追い立てられた女性たちに対する性的および肉体的な攻撃が含まれている。
金曜日(12月27日)イスラエルの歩兵部隊と機甲部隊はカマル・アドワン病院とその近辺に、これに先立つ数週間にわたる砲撃と空襲、医療職員および技術職員を標的としたいくつもの攻撃の後に突入した。この攻撃は病院の発電機と酸素発生装置をも目標とすることで病院の運用能力を失わせた。
Euro-Med Monitorの調査チームが収集した証言によれば、イスラエル軍は病院への攻撃中一貫して一連の恐ろしい犯罪に関与している。住んでいる人がいる住宅での自爆用ロボットによるブービートラップによる住宅の破壊と中にいる一般市民の殺害の証言も含まれている。イスラエル軍による犯罪には兵士による負傷したり白旗を掲げた一般市民の現場での処刑も含まれている。
イスラエル陸軍は何十人もの女性と少女を拉致しており、深刻な性的虐待に相当するひどい迫害を行い、人間の尊厳にたいする差別的な扱いを行っている。
女性たちを殴ったりヒジャーブや衣服を脱ぐよう強制したこともイスラエル軍の行為に含まれている。
これに加え、イスラエル軍は地域にいるすべての人々に立ち退くことを強制し、北ガザ市内の外への追い出しを強制した。
病院への攻撃中、イスラエル陸軍はカマル・アドワン病院院長のフサム・アブー・サフィヤ医師とジャーナリストのイスラーム・アフマド氏を含む医療および運営職員、何十人もの人々を拉致している。
A.A. 41歳によるEuro-Med Monitorへの証言
「私はボランティアのコメディカルで、カマル・アドワン病院の近くの家に11人の市民とともに滞在していた。2024年12月27日金曜日の12時30分頃、ドアのあたりで自動車の音がした。私は一緒にいた人たちに自爆用ロボットが配置されるようだと伝えた。窓の外を見ると何台かのロボットがこの地域の家の前にいた。
私たちは自分たちのいる家を出て、爆発から生き残るようにと願って別の家屋へ移動した。30分ほどたつと、自爆用ロボットが爆発し始めた。その音は強烈で恐ろしく、あたかも小さな核爆弾のようだった。
爆撃の続くなか、この地区の別の家にいた1人の若い男が来て、彼が避難していた家屋が爆撃され、何人かが怪我したことを伝えた。私は他の人と一緒に救助に向かったが、その建物に近づくと一機のイスラエル軍の飛行機がミサイルをもう一発撃ってきた。私たちは怪我人1人を救出し、1人の遺体を発見した。しかしこの救出で私たちは負傷した。その時、私たちは爆撃が直撃した近くの家から叫び声を聞いた。私たちは悲惨な状況にいて、傷つき、人の命を救えなかった。
私たちは爆発が続くなか、避難先の家屋へ戻った。朝になってから、元いた家へ戻り、ほぼ完璧に破壊されていたのを確認した。それでも14人で厨房があった場所に座った。しばらくするとイスラエル軍の車両が家を砲撃し始めた。僕らは自分たちが非戦闘員だと叫んだ。家主が白旗を掲げて外に出たが、イスラエル兵は彼を即座に至近距離から射殺した。彼の遺体を収容しようとしたら、イスラエル兵は私たちに銃撃を加え、家主以外の人々を負傷させた。一緒にいた人々のうち、一人の子どもは精神的疾患にかかっていたらしいのだが、容赦のない爆撃により症状を悪化させたようだった。
その後、イスラエル軍は一人の非戦闘員(拉致されたパレスチナ人)を送り、降伏を迫った。私たちは自分たちが非戦闘員だと伝え白旗を掲げた。イスラエル軍は私たちを墓地の近くの開けた場所につれていった。そこで私たちは下着を脱ぐよう強いられ凍るような寒さの中で立たされた。さっき話した心を病んだ子どもが歩き出し、イスラエルの戦車へ向かって走り出した。僕はその子を呼び止めたけど返事はなかった。イスラエル軍はその子を即座に射殺した。装甲車1台と戦車1台がいた。1人の兵士が私たちを一か所に集めた。そのうち5人のけが人が戦車の前へ歩くよう強制され、5人とも尋問なしに殺された。
そして私たちは戦車の近くで立ち止まるよう命令されて、きっと私たちを轢き殺すつもりに違いないと私は考えた。いくばくかの時が過ぎ、イスラエル軍は私たちをアル・ファクーラ地区へ移し、午後8時まで無防備でほぼ裸のまま放置した。私たちは300人くらいになっていて、そのうち何人かがイスラエル軍にさらわれた。この間、イスラエル軍の人間が私たちの頭の上へ発砲しながら、ジャバーリアへと行くよう命じた。私たちがジャバーリアにたどり着くまで、ドローンが頭上をついてきた
カマル・アドワン病院のある地域から追放された一人の女性がEuro-Med Monitorのチームに話した
ある男性の兵士は女性看護師のズボンを脱がせ、彼女に手で触れた。彼女が抵抗すると男性兵士は彼女の頬を強くはりとばし、彼女は鼻血を出した。
別の女性からの報告では、一人の兵士が彼女とともにいた別の女性に対し「脱げ、それとも俺たちが脱がしてやろうか」と命じた。
別の証言によると、頭をおおうスカーフを外すことを拒んだ一人の女性に激高した兵士が彼女の服を破って胸を露出させた。
別の被害者は男性兵士に「脱げ」と言われながら押し付けられ、ひわいな言葉を浴びせられながら引きずられたと証言した。
同様に、ある病院の従業員がEuro-Med Monitorのチームへの証言
イスラエル兵たちは20歳未満の女性医療スタッフたちにヒジャーブをとるよう命じたが医療スタッフたちは拒絶した。するとイスラエル兵は私たちを罰するために2人の女性を引きずり出し、脅迫と威嚇により2人に着ている服の裾を持ち上げ、ズボンを下ろすよう強いた。
攻撃期間を通じ、イスラエル軍は砲撃によりカマル・アドワン病院の大部分を破壊し焼き払った。追加情報によると、何人かの病院職員が病院内の一部分を消火しようとして亡くなったことも判明しており、その箇所は完全に稼働できなくなっている。
Euro-Med Monitorはカマル・アドワン病院と周辺地域への攻撃の生存者の証言に対し国連の関連機関に速やかな調査を要請する。人権侵害の関与した個人、政治的指導者、軍関係者といった責任者に対し
ユーロメッド・モニター人権モニターは、イスラエル軍によるカマル・アドワン病院とその周辺地域への攻撃の生存者の証言に含まれる申し立てについて、関係する国連機関に即時調査を開始するよう求めている。人権侵害に責任を持つ個人や政治指導者、軍関係者などの責任を追及するための法的処置を発動させる必要性を強調している。
14カ月間ガザ地区で続く虐殺を止める法的義務を各国が起こさなかったことおよび、イスラエルに戦争犯罪を止める決定的な行動を取らないこと、その上何カ国かが効果的に共犯者となることで、これらの残虐行為に対して各国が国際的な責任を負うことをEuro-Med Monitorは再確認している。
国連が主導する国際的秩序は設立されるきっかけとなった基本的な目的と原則を選択していない。14カ月以上、一般市民を守ることとイスラエルによるパレスチナ人への虐殺を止めることを擁護すること、つまりは彼らの使命と存在の中心となるべき目標を擁護を実施することに対し、国際的秩序は不名誉な失敗を示してきた。
Euro-Med Monitorは全ての国際的な関係者および国連機関に対し、ガザ地区における虐殺をやめさせ、イスラエルに対する全面的な武器禁輸を課し、イスラエルにすべての犯罪の責任をとらせること、そしてパレスチナ市民を保護する具体的な措置をとることにより速やかに法的義務を全うすることを速やかに実施することで、彼らの法的義務を全うするよう再度呼びかける。
Euro-Med Monitorは強制的に家を追い立てられた人々の帰還、拉致されたパレスチナ人の解放、強制的に行方不明とされた人々の運命を明らかにすることを求めている。ガザ地区の人々、特に北部の人々を満たす、速やかなかつ妨害のないあらゆる人道的支援、特に生命維持に必要な物資を搬入させることを同時に要求する。
最後に、すべての犠牲者とその家族への補償、すべてのガザ地区およびパレスチナ地域からイスラエル占領軍が退去することを、Euro-Med Monitorは要求する。