ジュネーブに本部に置くヨーロッパおよび地中海における人権問題の監視組織、欧州地中海人権監視団(Euro-Med Human Rights Monitor)が2025/6/10に発出したイスラエル軍が地元武装組織や外国人傭兵を雇って外注した行う虐殺についてのレポートを訳出しました。
トランプ政権が加わることでガザ地区では人道支援すらイスラエル軍の武器として虐殺に使われています。
ぜひ一読いただき、外務省、首相官邸、地区選出議員などに働きかけてください。
2025年6月10日発出
イスラエルは地域のギャングと外国人傭兵を雇い、支援物資配給所を庶民を屠殺する場所に仕立て上げている。
原文
https://euromedmonitor.org/en/article/6755/Israel-recruits-local-gangs-and-foreign-mercenaries,-turning-aid-distribution-centres-into-mass-slaughterhouse
パレスチナ地域-
イスラエル軍は、支援物資の窃盗に関与する武装ギャングとアメリカ合衆国の民間軍事会社(PMC)が派遣した外国人傭兵を、ラファハ市の食糧配給所の周辺で飢えたパレスチナ人を殺すために雇っている。
これらのグループはガザ地区のなかで混乱を扇動し、不可欠なサービスと生活必需品の組織的な破壊をも請け負っている。
欧州地中海人権監視団の調査チームはイスラエル軍とイスラエル軍が組織した武装集団がラファハ市西部の支援物資配給所(以下、配給所)へむかおうとした何百人もの民間人に対して発砲したことを記録した。すでに14人のパレスチナ人が殺されており、これらの武装集団が大量殺戮方針の執行者の役割を担っていることを示している。
私たちは12人以上の証言を検討した。証言者のうちの何人かは6月8日(月)の早朝、ラファハ市西部のアル・アラム地区で食糧援助を受け取ろうとした際の暴力で負傷していた。
支援物資の配給の知らせを受けてアルアラム地区へむかった飢えた集まった民間人にいた目撃者の証言によると、民間人たちはパレスチナの旗を掲げた「パレスチナ対テロ部隊」という言葉を含む記章をつけた武装した男性たちが乗った四輪装甲車と出会った。男たちの制服はヤセル・アブー・シャバーブが組織した武装集団のもので、この武装集団はイスラエル軍と直接連携して作戦行動をするとともに、この地域を管理している。
そうこうしているうちに、武装集団の隊員は民間人を列に並べ、それから突然彼らに解散するよう命じ、その日の配給はなくなったと告げた。飢えと絶望につきうごかされ、集まった民間人は配給所へと向かい続けたが、そこにあるのはイスラエル軍に指揮された武装集団による銃撃の弾幕だけで、民間人の死傷者をだして終わった。負傷した一人の男性の兄弟は銃撃に抗議したものの、至近距離で撃たれ、その場で殺されたとみられる。
緊迫感が高まり武装集団の統制が失われたため、武装集団はイスラエル軍の陣地へと退いた。イスラエル軍は、その後に介入し、武装集団に加わり装甲車とクアッドコプター、アパッチヘリを用いた無差別かつ直接的な銃撃を行った。この攻撃で群衆は力付くで追い散らされ、少なくとも14人が殺され何十人もが負傷した。
欧州地中海人権監視団はアメリカ合衆国の民間軍事会社(PMC)に雇われた配給所を監督する一人の外国人傭兵が、民間人を撃ち、殺しているという信頼できる情報を入手した。援助を求める人を追い散らすために催涙ガスを何度も用いている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はガザ地区での戦闘を遂行するために「アブー・シャバーブ団」と呼ばれる武装集団を結成させたことを認めている。私たちの情報によると、この武装集団はイスラエルのクアッドコプター・ドローンの援護を受けながら武器を用いた強盗を行い、国連のトラックを含む支援物資の窃盗に関与している。盗まれた物資はイスラエルの支配する地域に運ばれ、法外な値段で販売されている。
「アブー・シャバーブ団」のたびかさなる関与は、女性と子供たちを含む死者と負傷者、そして飢えを組織的な大量殺戮の道具へとイスラエルが作りかえるさまをまざまざと見せつけるるおぞましい光景をもたらす配給所と支援物資のトラックの輸送ルート沿いの集まった民間人に対する意図的な銃撃によって非常に由々しき事態にしている。
イスラエルがガザ地区に設置した配給所を運営するアメリカ合衆国の民間軍事会社の職員は民間人に対する戦闘作戦に従事するとともに、彼らに武器と資材、この地域での作戦命令を与えるイスラエル軍とじかに連携して地上戦を遂行している。
アメリカ合衆国の民間軍事会社の職員の役割を考慮すると、自国外での悪意ある行為に外国の軍隊になりかわって参加することは、1989年に国連総会で採択された「傭兵の募集、使用、資金供与及び訓練を禁止する条約」で定義される「傭兵」とみなされうるものである。この条約は彼らがとっている行動を明確に拒絶している。
さらに、「アブー・シャバーブ団」はイスラエル軍が作り出したこの地域における違法な武装勢力であり、イスラエル軍による直接の指揮下におかれ、兵站と兵器の支援をうけている。「アブー・シャバーブ団」は群衆を追い散らし、支援へのアクセスを差し止め、民間人への暴行と殺害を犯している。
「アブー・シャバーブ団」の構成員はガザ地区の住民であったとしても、彼らの軍事行動はイスラエル軍と連携しており、イスラエルは彼らの軍事行動に法的な責任を負っている。ガザ地区を占領しているイスラエルはジュネーブ条約第四条に基づき、占領している地域の民間人を守り、イスラエル国の代理人による民間人への暴力を止める義務がある。
民間軍事会社と「アブー・シャバーブ団」のようなガザ地区内の武装勢力を含むイスラエル国外の勢力に対し、イスラエル当局の直接の指揮ないし連携のもとガザ地区内で作戦行動を行う許可をイスラエル当局が与えていることは、イスラエルの法的な責任を軽くするものではない。むしろ、彼らの法的責任をさらに強め、深刻にするものだ。
国際人道法に基づき、占領国には実行支配している地域で行われているあらゆる行為について責任を負っている。その行為を行ったのが正規軍か、占領国による認可や占領国の明示的なまたは暗黙の了解をうけた非合法勢力によって行われたかは関係ない。
イスラエルの責任はこれらの勢力が関与したあらゆる深刻な暴力に及んでおり、この暴力には裁判なしの殺害、人道支援に対する意図的な否定、飢餓を戦争の手段に組み込むこと、傭兵を用いた民間人に対する敵対行為を含んでいる。
付け加えると、地域の軍事勢力が民間人に対する統制と戦闘行為を行うことに対するイスラエルの認可は、イスラエルによる兵器や空中支援や移動の調整の供与とあいまって、イスラエルが直接責任を負うべき暴力の危険な典型を構成している。
イスラエルのやり口は独立した違反行為ではなく、ガザ地区の社会構造の解体と、暴力をイスラエル国外やガザ地区内に外注することでイスラエルを免責させるために計画された政策の一部である。これらの深刻かつ複雑な犯罪の責任を追及するために国際社会はいますぐ行動をとる必要がある。
ただちに、かつ独立した国際的な捜査を「アブー・シャバーブ団」とアメリカ合衆国の民間軍事会社とともに働く外国人傭兵の構成員の関わる深刻な犯罪に対し行われなければならない。関与した人々は行われた犯罪の重大性に鑑み、地域的委任によるか普遍的管轄権によるかに関わらず、管轄する国際司法機関または国内の司法管轄権のもとで裁かれなければならない。
欧州地中海人権監視団はアメリカ合衆国の民間軍事企業を国際犯罪に加担している団体のリストに加え、あらゆる国際的な、または国家の機関との契約から締め出すように求めている。
パレスチナ当局はパレスチナ当局の派閥との連携を繰り返し表明する武装勢力に対し、明白かつ断固とした態度を表明しなければならない。武装勢力の構成員と当局のあらゆる協力の可能性の確認を透明性のある内部調査によって行い、民間人に対する暴力に関わるないし加担するあらゆる人々に対し法的措置をとらなければならない。
あらゆる国家は、単独であるか共同してかに関わらず、
・国際法と国際司法裁判所の判断に基づきイスラエルの法的責任を追及すること。
・アメリカ合衆国とイスラエルが強制する追放計画の実施の阻止
・イスラエルとイスラエルよりも強力な同盟者に対しガザ地区のパレスチナ人に対する犯罪に対する法的責任を負わせること。
によるパレスチナ人民間人を守るための有効な手段をとり、ガザ地区での虐殺を止めるための喫緊の行動を行うことで、国家としての法的な責任を果たさねばならない。
国際司法裁判所は国際犯罪に免責はないという原則に基づき、イスラエル国の首相と防衛大臣への逮捕状を直ちに執行をしなければならない。
国際社会は上記の深刻な国際法への違反行為に対して経済、外交、さらには軍事制裁をイスラエルとその支援者、とくにアメリカ合衆国にたいして課さなければならない。これらの制裁に含まれるべき事項は
・武器の禁輸
・部品やソフトウェア、デュアルユース製品の輸出入の禁止・
・あらゆる政治、金融そして軍事支援の凍結
・パレスチナ人に対する犯罪に関与したイスラエル当局者の資産凍結および渡航禁止
・イスラエルと米国に経済的利益をもたらし、パレスチナの人々に対する犯罪の継続を可能にする貿易特権と二国間協定の停止
である。
私たちにできること
この記事を読んてくださった方の多数は日本に在住する方だと思います。パレスチナでイスラエルが行っている虐殺に対し、日本からできることを紹介します。
Olive Journal 市民が作るパレスチナ情報サイトで詳しく掲載されているので合わせて読んでくださると嬉しいです。
各国の政府へ抗議する
パレスチナで起きている虐殺について心を痛めていることをストレートに伝えてください。一般人を殺害するイスラエルに対する制裁の実施など具体的な行動を取るよう求めてください。
首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html
外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/comment/index.html
在日米国大使館
https://jp.usembassy.gov/services/acs-inquiry-form
地元選出議員にメールする
ご自身のお住いの地域 国会議員、で検索し出てきた議員に対して、ご自身が選挙区の在住の市民であることを伝えたうえで、パレスチナで起きている虐殺について心を痛めていることをストレートに伝えてください。一般人を殺害するイスラエルに対する制裁の実施など具体的な行動を取るよう求めてください。
署名をする
パレスチナで行われている虐殺を止めるための署名がいくつも行われています。ぜひとも署名してください。以下はほんの一例です。
- パレスチナの国家承認を日本政府に求める署名
https://www.change.org/p/世界につづけ-パレスチナ国家承認
- 日本の公的年金によるイスラエルとイスラエルを支援する企業に対する投資を止めるよう求める署名
https://www.change.org/Divest_Nenkin
イスラエル産またはパレスチナ人の民族浄化に加担する企業の物を買わない
ポッカレモンや明治屋のマイレモンといったイスラエル産のレモンを用いている商品、airbnb,Booking.comなどイスラエルによるパレスチナ人の民族浄化に加担する企業の製品やサービスを買わない、使わない

イスラエルによるパレスチナ人の占領、アパルトヘイト、ジェノサイドに加担する企業に対するボイコットを呼びかけるBDS運動の対象企業リスト。
localized by: BDS Japan Bulletin
パレスチナは日本から遠く離れた場所ですが、私たちは資本主義社会のなかでイスラエルやパレスチナに関わって生活しています。生活のなかからできる行動から、一つ一つ世界を変えてください。