イベント・教室

世界の詩のどんなところを紹介したいの?(「詩人・大崎清夏と巡る世界の詩」に寄せて)


港区赤坂の書店、双子のライオン堂で11/10から「詩人・大崎清夏と巡る世界の詩」というイベントを始めることになりました。
・三回講座のご案内
https://liondo.thebase.in/items/23907352

翻訳文学大賞などで、海外文学に光が当たってきた今だからこそ、今、どんな詩が書かれているかを紹介したい。そして今書かれている詩が、それぞれの言葉の中での歴史を持っていることを紹介したいということが始まりです。

中原中也賞を受賞された詩人の大崎清夏さんが企画に賛同くださり、世界不思議発見よろしくナビゲーターとして立ってくださることになりました。

シリーズ 詩人・大崎清夏とめぐる世界の詩

日時

第一回 2019/11/10(日) 14:00-16:00
中南米の女性詩 ゲスト:駒井睦子(清泉女子大学)

第二回 2019/12/8(日) 14:00-16:00
詩のお祭りを旅する ゲスト:iidabii(スラムポエット)

第三回 2020/1/12(日) 14:00-16:00
ブレイクビーツ時代のアメリカ詩

会場:双子のライオン堂

東京都港区赤坂6丁目5−21−101

お申し込み

三回通し券 ¥9,000

https://liondo.thebase.in/items/23907352

第一回 前売 ¥3,500 当日 ¥4,000-
https://peatix.com/event/1351111/view?k=d16c8dd459da63684f9a9d65bad11b3c9703fb7a



第一回は中南米の女性の詩を紹介します。


今回ゲストとして登壇するのは、駒井睦子さん。駒井さんには、『て、わた し』第5号でアルフォンシーナ・ストルニの作品を紹介いただきました。

アルフォンシーナ・ストルニは1938年に40代の若さで自ら命を絶ったアルゼンチンの詩人です。未婚の母として、そして乳がんにも苦しめられた彼女は、ラテンアメリカ文学における<フェミニズム詩人>の先駆けとして知られています。昨年、生誕136年目の誕生日に、アルゼンチン・チリ・ペルーのGoogleのトップロゴにもなりました。https://www.toplogo.info/?p=440838

イベントでは、大崎さんが近年訪れた南米の詩祭で出会った詩人を紹介するとともに、その源流となるストルニたちの作品をみなさんにも触れていただくという会になる予定です。


9月、この企画が形になる前に、大崎さんと駒井さんとお会いしました。その時に、今回のイベントを象徴するような出会いがあったので紹介します。

大崎さんと駒井さんは初対面でした。その時、大崎さんは『て、わた し』第6号で紹介したドミニカ共和国の詩人ローリステリー・ペーニャ・ソラーノさんの詩集『Abyecta』(卑劣)を持ってきていました。

最近の詩人の作品に触れようと、『Abyecta』のページを開いた駒井さんが声をあげました。
そこにあったのは、アルフォンシーナ・ストルニの代表作「あなたは私に白さを望む」だったのです。「あなたは私に白さを望む」は、ソラーノさんの詩集の一番初めに、その詩集の国歌として掲げられていました。

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奇跡のような一日。 昨日、第6号に寄稿くださった大崎清夏さん @chakibear と第5号に寄稿してくださった駒井睦子さんと会いました。 大崎さんは、第6号で翻訳してくださったローリステリー・ペーニャ・ソラーノさんの詩集を持参してくださっていたのですが、ページをめくるとそこには、第5号で駒井さんが翻訳してくださったアルフォンシーナ・ストルニの詩『あなたは私に白さを望む』が! ソラーノさんは『あなたは私に白さを望む』を「国歌」という位置づけで掲載されていました。 ストルニは、南米を代表する女性詩・フェミニズムの書き手としてgoogleのトップページにもなった人。 大崎さんも、駒井さんも、私も、南米の詩の歴史的な繋がりに驚いてしまいました。 ソラーノさんは私と同年代。彼女にとってストルニは私達にとって中也や宮沢賢治のような存在…だということは教えられたら理解できます。ソラーノさんの詩集にストルニがいるのは、暁方ミセイさんの詩集に宮沢賢治がいるようなもの。 しかしながら、こうして今を生きる詩人の詩集の中でストルニへの尊敬の念が明らかにされているということは、詩人の大崎さんも知らなかったし、ストルニを研究する駒井さんも知らなかったし、私も知らなかったこと。 文学は受け継がれていく、営みだと学びました。 #歴史 #スペイン語 #poetry #詩集 #詩

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どんな神の真理によってあなたは私に白さを願うのか
(神がお許しになりますよう)
あなたは私に純潔を願うのか
(神がお許しになりますよう)
あなたは私に夜明けの白さを願うのか!

(アルフォンシーナ・ストルニ『わたしは白さをのぞむ』(訳・駒井睦子)『て、わた し』第5号より)


自分の行いを棚に上げて女性に純潔を求める男性に異を唱える「あなたは私に白さを望む」を持つソラーノさんは、彼女自身の言葉でさらに男性社会を暴き自分自身を自分自身として伝える詩を書いていました。

私の場所は鳥のいない空や
獣のいない森ではないし、
歴史書に住んでいるわけでもなく
ましてや「偉大な男」の
伝記の余白の線でもない

(ローリステリー・ペーニャ・ソラーノ『虚栄』(訳・大崎清夏『て、わた し』第6号より))

大崎さんは、ストルニの詩がソラーノさんの詩集で引用されていることを駒井さんに伝えられるまで知りませんでした。
駒井さんは、彼女が研究する戦前の詩人の詩が20代、30代の書き手にはっきりとした形を与えていることを知りませんでした。

日本文学に例えると、宮沢賢治の研究者がTha Blue Herbの『Ame Ni Mo Makez』や不可思議/Wonderboyの『銀河鉄道の夜』を聞かされるような世界でした。


宮沢賢治の『雨ニモ負ケズ』や『銀河鉄道の夜』は教科書にも載っている作品で、多くの研究者がいます。
けれども、宮沢賢治の作品がどのように現代の作家に影響しているかを語るかは宮沢賢治の研究とは別問題です。
そうわかっていたとしても、宮沢賢治が現代の作家に影響を与えていることは事実です。
現代の宮沢賢治は、彼の影響を受けた作家も踏まえて語られるべきだと私は感じています。


宮沢賢治とTha Blue Herbのように、
アルフォンシーナ・ストルニとローリステリー・ペーニャ・ソラーノ。

一つの創作が新たな創作活動に繋がっていく過程をみなさんにお伝えできるといいなと感じています。

ぜひお越しください。

シリーズ 詩人・大崎清夏とめぐる世界の詩

日時

第一回 2019/11/10(日) 14:00-16:00
中南米の女性詩 ゲスト:駒井睦子(清泉女子大学)

第二回 2019/12/8(日) 14:00-16:00
詩のお祭りを旅する ゲスト:iidabii(スラムポエット)

第三回 2020/1/12(日) 14:00-16:00
ブレイクビーツ時代のアメリカ詩

会場:双子のライオン堂

東京都港区赤坂6丁目5−21−101

お申し込み

三回通し券 ¥9,000

https://liondo.thebase.in/items/23907352

第一回 前売 ¥3,500 当日 ¥4,000-
https://peatix.com/event/1351111/view?k=d16c8dd459da63684f9a9d65bad11b3c9703fb7a

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